オプション取引の基本知識について
オプションを利用したヘッジ
ヘッジとは異なる金融商品または資産でポジションを取ることでリスクを補うことを言います。
ヘッジトレーダーは価格がどのように関連するか、リスクを軽減するためにとるポジションをどのように個々の取引きと組み合わせるかをよく見ています。
シンプルな方法では、価格の不利な動きから守るため、金融資産の価値に保険のようにオプションを使用できます。長期取引では価格の大きな変動を、短期取引においては特定のリスクやイベントをカバーすることができます。
以下の例では、資産を購入した投資家が損失を制限しようとしますが、資産の価格が大幅に上昇した場合、そこから利益を得られる可能性はまだあります。そのため、各単位で最大損失を1,000円にするために設定した権利行使価格のバニラ・プットオプションを購入します。オプションは一単位200円のため、実際の見込み損失総額は所有する単位数×1,200円になります。
資産価格が9,000円に下落した場合、その資産の損失額は所有するプットプションの権利行使額の利益で相殺することができます。
また、一単位10,000円で資産を購入した場合に、相殺するのに価格が10,200円必要になるということを意味します。しかし、価格が水準より上昇すると、 プットオプションからの下振れリスクを保護しながら、価格上昇の恩恵を十分に得ることになります。
今後の価格上昇から守る方法としてもバニラ・コールオプションを使用することができます。これは原資産のショートポジションを所有している投資者、または将来購入する必要があるが、時期が定かではない場合に必要となってきます。
将来購入予定である場合、アット・ザ・マネーのバニラ・コールオプションが今と購入予定時期の間の価格上昇を補うでしょう。例えば、3ヶ月後に資産を購入する必要があるとします。そして、価格の上昇を懸念して 11,000円の現行価格の権利行使価格でバニラ・コールオプションを購入します。オプションコストは300円です。
12,000円まで価格が上昇するとし、元値の11,000円で購入するために所有するオプションを行使することができます。オプションが決済されれば、将来の決済価格とオプションの権利行使価格の差額を受け取ることになります。この場合は1,000円です。オプションの購入は300円ですが、それを購入していなかったら、価格は1,000円になっていました。価格が上昇するほど 、ヘッジの利点はさらに大きくなります。
逆の場合、購入時に価格が下降すれば、安い金額で購入することにより利益を得ることでしょう。オプションのコストは失いますが、より良いポジションで取引ができます。
特定の資産を所有する投資家に役立つもう一つのオプション・ヘッジ・ストラテジーは、バニラ・コールオプションを売却することです。受け取ったオプション料は価格の下落による損失を軽減するでしょう。また、ポジションの見込み利益を制限することになりますが、価格が上昇した際に、その水準で売却しようと考えているなら、このストラテジーを用いればリターン総額を増やすことができます。このストラテジーをカバード・オプション・ヘッジといいます。
バイナリーオプションを利用するヘッジ
バイナリーオプションでのヘッジは、オプションのペイアウトが固定であるため異なります。従って、 原資産のポジションに正確に一致することはないので相殺はできませんが、その代わりに、資産の報酬ラインを変える効果があるシングルペイアウトが提供されます 。
オプションのペイアウトは、ヘッジ限界より低いポイントへ価格が動いた場合にのみ補うことができます。それ以外のポイントでは、オプションヘッジによるカバーはありません。
この種類のヘッジは、突然の価格の下降から守るために、短期取引であるほどより役立ちます。例えば、重要な経済データが発表された際に起こります。このようなヘッジは資産価格の下降によるリスクを補うために、即座にペイアウトを行います 。投資者はポジションを見直し、売却するか、価格が回復するのを待つかを決断することができます。
また、価格の動きがかなり早い場合に、ターゲットとしているストップロスの水準でポジションを売却することは常に可能なわけではありません。このような場合に、バイナリーオプションヘッジは、予期していた水準よりも低い価格で売却しなければいけない場合に補うことができます。
上記の表の例のように、予定されていた重要な経済データの公表後に、判定レートが短時間でターゲットのストップロス以下になった場合、投資家はペイアウト一単位1,000円のバイナリープットオプションを購入します。
資産価格にかなり悪影響のあるデータが公表され、急激に価格が下降します。特定の価格を下回ると買い手はいなくなり、次に購入できる機会は投資家のターゲット価格をかなり下回るときです。ストップロス注文を行っていたら、予期せぬ追加の損失を被っていたでしょう。この例でいうと一単位800円です。しかし、この場合は判定時刻までに価格がオプションのバリアに達しないかぎり、1,000円のペイアウトを受け取ることになります。
そのため、この例において 投資家はオプションに200円を支払い、所有しているオプションのターゲット売却価格よりも 800円余分に損失しています。しかし、オプションの1,000円のペイアウトによりこれを補うとができます。
ストラテジーの組み合わせ
トレードとヘッジ双方に使用できるより複雑なストラテジーは、両方向での決済機会をつくるために2つのポジションをもつことです。
同じ権利行使価格のバニラ・コールオプションとバニラ・プットプションを購入することをバニラ・ストラドルといいます。どちらかの方向に適度に市場が動いた場合に、利益を生み出すことができます。しかし、市場が十分に動かなければ、2つのオプション費用がかかるため、損失を生み出すこととなります。従って、ボラティリティトレードでは、価格の変動が大きいほどリターン率が高くなるということです。オプションの売り手は逆のリスクを有します。
バニラ・ストラングルは異なる権利行使価格のコールオプションとプットオプションを購入することになります。コールオプションの権利行使価格は現行価格よりも高く、プットプションの権利行使価格は現行価格よりも低いものを購入します。アウト・オブ・ザ・マネーの場合、ストラドルのアット・ザ・マネーオプションよりも安くなりますが、利益の獲得は難しくなります。
ストラテジーは一般的に原資産価格がどちらかの方向で大きな変動があった場合に利益があります。しかし、権利行使価格が現行価格にかなり近いようであれば、価格が適度に動いた場合にも利益があります。
バイナリーオプションについては、2つのオプションの費用が見込みペイオフを超えるようであれば、ストラドルトレードは意味をなしません。しかし、バイナリーコールオプションを購入する状況でならストラドルポジションがつくられます。その後、投資家は同じバリア水準のバイナリープットプションを購入することでヘッジをします。
バイナリー・オプション・ストラングルはレンジ・バイナリーオプションと同じです。資産価格が判定時刻に2つのバリアの外で終了すると判断した場合、バリアよりも高いバイナリーコールオプションとバリアよりも低いバイナリープットオプションを購入することができます。しかし、同じバリアに設定されたレンジのレンジ・バイナリーオプションEND-OUTトレードを購入して全く同じポジションをつくることも可能です。
正反対の取引手法はバイナリー・オプション・ストラングルの売り手と同様です。しかし、レンジ・バイナリーオプションの種類を売却することは、逆のポジションを購入していることと同じになります。
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